血液循環理論前史 アラビアの医師――イブン・ナフィス

13世紀の世界当時の科学（医学）の中心であったイスラムでアラビアの医師イブン・ナフィスが成し遂げた仕事（血液循環理論の構築）を顕彰しているのが本書です。イスラム教では、宗教的理由で解剖を許されていなかった。これは明治前の日本でも同様の状況ですね。只19世紀と13世紀の時間の差を正しく評価しなければならない。解剖無しで人体内臓（特に心肺機能）の生理の機能・構造学的研究の進歩（血液循環理論へ到達）は有り得たのか？イブン・ナフィスは自著で「自分は敬虔なイスラム教の信者であり教義に反する解剖はしていない。」と書いているそうです。仮説と検証若しくは事実と検証は科学の両輪である。血液循環理論という仮説は人体解剖による事実の認識・検証を必要とし又理論構築の為だけでなく理論の評価と普及の為にも必要である筈です。話は少し変わるが現在もイスラム教の教義ではお金を貸して利息を受け取ることが禁じられているそうです。しかし、イスラム金融という言葉が新聞紙上でも散見するようになっているのも事実です。閑話休題イブン・ナフィスがそしてその周辺の人間達が其処をどの様に考えてクリアーしていたのだろうか？本書ではそこを明らかにしている訳でありませんが興味を引かれますよね！！