LRT－次世代型路面電車とまちづくり－ (交通ブックス)

高速/低床路面電車：LRT(Light Rail Transit)が走っている街は、街中が楽しい、ドキドキする、という感じが伝わってきました。日本のバスのような一ヶ所料金収集方式だと、停車時間が長くなってしまいますが、欧米の信用乗車方式やICカードで、劇的に乗降が早くなります。自動車を閉め出したトランジット・モール化により道路の両側の商店が繋がり、歩きたくなる街になります。バスよりおしゃれ、高齢者も出掛けたくなるコンパクト・シティが実現していきます。日本では、自分で考える風習のある中央ベルトの北端：富山市で成功中。豊富な事例/写真もあり、素敵な本でした。その他、小生の印象に残った点は以下です。・都心への高速道路建設に、市民が反対した。（カナダ：エドモントン市）・最初は反対派も多かったが、建設してみると、殆ど賛成派に変わった。・交通は、それ自体が目的ではなく、派生需要である。・黒字にするのが大事ではない。いつでも移動しようと思えばできる「交通権」を市民が手に入れるのは地域活性化に大きな効果がある。・富山市では、今まで出歩かなかった高齢者が街中に繰り出し、街が活性化した。・欧米では、市民が自分達で対話して、新しい市を創り出す。ニッポンには対話や自治がない。・バッテリーを積んで景観が良くない架線を不要化したり、ディーゼル発電機で発電して走らせる新型もある。・郊外電車やバスと同じプラットフォームに止め、乗り換えやすくする。事例として大きく取り上げられているオレゴン州ポートランドには小生も行ったことがありますが、都心部は無料ですし、空港までLRTがちょこんと乗り入れていて、高速に都心と行き来できることに驚いたことがあります。ICカード化によって全ドア同時乗り降りができれば、高架や地下のように面倒くさくなく、おしゃれな水平エレベータでもあるLRTには、街のみか、人生自体を楽しくする効用があると小生も思います。